レイヤー2(Layer 2 / L2) とは、ブロックチェーンのメインチェーン(レイヤー1)の処理能力を補うために、その上に構築される拡張技術の総称です。取引をオフチェーンで処理してからメインチェーンに記録することで、高速化・低コスト化を実現します。
レイヤー2の基本概念
レイヤー1(メインチェーン):
Ethereum、Bitcoinなどの基盤ブロックチェーン
→ セキュリティは高いが処理速度に限界
課題(スケーラビリティ問題):
・Ethereum: 約15〜30 TPS(1秒あたりの取引数)
・Visa: 約65,000 TPS
→ 大きな処理能力の差
レイヤー2(L2):
メインチェーンの外で取引を処理
→ 処理結果をメインチェーンに記録
→ セキュリティを維持しつつ高速化・低コスト化
レイヤー2の主な技術
| 技術 |
説明 |
代表例 |
| Optimistic Rollup |
取引をまとめて処理、不正は事後検証 |
Optimism、Arbitrum、Base |
| ZK-Rollup |
ゼロ知識証明で取引の正当性を証明 |
zkSync、StarkNet、Polygon zkEVM |
| ステートチャネル |
当事者間で直接取引し結果のみ記録 |
Lightning Network |
| Plasma |
子チェーンで処理し定期的にメインに記録 |
OMG Network |
| Validium |
ZK証明を使用、データはオフチェーン |
Immutable X |
Optimistic Rollupの仕組み
1. 多数の取引をL2でまとめて処理
2. 取引データを圧縮してL1に送信
3. 「不正がない」と楽観的(Optimistic)に仮定
4. 一定期間(通常7日間)に不正を申告可能
5. 不正が証明されなければ取引が確定
メリット: EVM互換性が高く既存のアプリが移行しやすい
デメリット: 引き出しに7日間の待機期間が必要
ZK-Rollupの仕組み
1. 多数の取引をL2でまとめて処理
2. ゼロ知識証明(ZKP)を生成
3. 証明と取引データをL1に送信
4. L1で証明を検証 → 即座に確定
メリット: 引き出しが即座に可能、数学的に安全
デメリット: 技術的に複雑、EVM互換性に課題(改善中)
主要なレイヤー2プロジェクト
| プロジェクト |
種類 |
特徴 |
| Arbitrum |
Optimistic Rollup |
最大のL2、DeFiエコシステムが豊富 |
| Optimism |
Optimistic Rollup |
OP Stackで多くのL2を支える |
| Base |
Optimistic Rollup |
Coinbaseが開発、OP Stack採用 |
| zkSync |
ZK-Rollup |
ゼロ知識証明ベース |
| StarkNet |
ZK-Rollup |
独自のSTARK証明 |
| Polygon zkEVM |
ZK-Rollup |
EVM完全互換を目指す |
| Lightning Network |
ステートチャネル |
Bitcoinの決済用L2 |
レイヤー2のメリット
| メリット |
説明 |
| 低手数料 |
L1の数十分の1〜数百分の1のガス代 |
| 高速処理 |
数千〜数万TPSの処理能力 |
| L1のセキュリティ |
メインチェーンのセキュリティを継承 |
| スケーラビリティ |
大量の取引を処理可能 |
レイヤー2のリスク・課題
| リスク |
説明 |
| ブリッジリスク |
L1⇔L2間の資産移動(ブリッジ)がハッキング対象 |
| 中央集権化 |
一部のL2はシーケンサーが中央集権的 |
| 流動性の分散 |
複数のL2に流動性が分散 |
| 技術的リスク |
新しい技術のため未知のバグの可能性 |
| 引き出し遅延 |
Optimistic Rollupは7日間の待機 |
レイヤー2とガス代の比較
| ネットワーク |
ETH送金の手数料(目安) |
| Ethereum L1 |
約1〜10ドル |
| Arbitrum |
約0.01〜0.1ドル |
| Optimism |
約0.01〜0.1ドル |
| Base |
約0.001〜0.01ドル |
| zkSync |
約0.01〜0.05ドル |
レイヤー2の投資としての側面
| 投資機会 |
説明 |
| L2トークン |
ARB(Arbitrum)、OP(Optimism)など |
| L2上のDeFi |
L2で動くDeFiプロトコルへの投資 |
| L2のTVL |
L2にロックされた資産総額で成長を測る |
| インフラ関連 |
ブリッジ、オラクルなどのインフラ |
レイヤー1とレイヤー2の使い分け
| 用途 |
適したレイヤー |
| 大口の取引 |
L1(セキュリティ最優先) |
| 少額の送金 |
L2(手数料を節約) |
| DeFi取引 |
L2(頻繁な取引に最適) |
| NFTミント |
L2(低コストで大量発行) |
| 長期保管 |
L1(最も安全) |
Welvioでの活用
Welvioで暗号資産ポートフォリオを管理する際、レイヤー2上の資産やDeFiポジションも含めた総合的な資産把握に活用できます。