株式持ち合い(Cross-Shareholding) とは、複数の企業がお互いの株式を保有し合う慣行です。日本の企業社会に根付いた独特の仕組みで、「政策保有株式」 とも呼ばれます。
基本的な仕組み
株式持ち合いの構造:
A社 → B社の株式を保有
B社 → A社の株式を保有
三角持ち合い:
A社 → B社 → C社 → A社(3社以上で循環的に保有)
株式持ち合いの歴史
| 時期 |
動向 |
| 1950〜60年代 |
財閥解体後、外資による買収防衛として始まる |
| 1970〜80年代 |
銀行を中心に広く普及、安定株主工作として定着 |
| 1990年代 |
バブル崩壊後、含み損を抱え解消が始まる |
| 2000年代 |
時価会計の導入で保有コストが顕在化 |
| 2015年〜 |
コーポレートガバナンス・コードで縮減圧力が強まる |
| 現在 |
解消が加速するも、一定規模は残存 |
株式持ち合いのメリット(保有側の視点)
| メリット |
説明 |
| 安定株主の確保 |
敵対的買収に対する防衛策 |
| 取引関係の強化 |
株式保有を通じた取引先との関係維持 |
| 経営の安定 |
株主総会での安定的な賛成票の確保 |
| 情報共有 |
株主としての情報交換が可能 |
株式持ち合いのデメリット
| デメリット |
説明 |
| 資本効率の低下 |
事業に使われない資金が他社株式に固定される |
| ガバナンスの形骸化 |
互いに経営を監視する機能が弱まる |
| 株価下落リスク |
保有株の価値下落が自社の業績に影響 |
| 持ち合い解消売り |
解消時に大量の売り圧力が生じる |
| 少数株主の利益毀損 |
経営者の保身に使われる可能性 |
コーポレートガバナンス・コードの要請
| 要請事項 |
内容 |
| 保有目的の説明 |
政策保有株式の保有理由を具体的に説明 |
| 保有の合理性検証 |
毎年、保有の便益とリスクを検証 |
| 縮減方針の開示 |
合理性のない保有株式は縮減する方針を明示 |
| 議決権行使の方針 |
政策保有株式の議決権行使基準を開示 |
持ち合い解消の影響
| 影響 |
内容 |
| 短期的な売り圧力 |
大量の売却により一時的に株価が下落する可能性 |
| 資本効率の改善 |
売却代金を自社株買いや設備投資に活用 |
| ROE の向上 |
資本の有効活用により株主資本利益率が改善 |
| ガバナンスの改善 |
経営の規律が高まり、株主利益が重視される |
投資家が確認すべきポイント
| ポイント |
確認方法 |
| 政策保有株式の規模 |
有価証券報告書の「株式の保有状況」 を確認 |
| 保有目的の妥当性 |
開示された保有理由が合理的か判断 |
| 縮減の進捗 |
前年からの変化を確認 |
| 資本効率への影響 |
政策保有がなければ ROE がどの程度改善するか試算 |
| 含み損益 |
保有株式の含み損益が財務に与える影響を確認 |
Welvioでの活用
Welvioで保有銘柄の政策保有株式の状況を確認し、持ち合い解消の進捗を追跡できます。解消売りによる一時的な株価下落は投資機会になることもあり、長期的には資本効率の改善が期待できます。