エクイティリスクプレミアム(Equity Risk Premium、ERP) とは、株式(エクイティ)がリスクフリー資産(国債など)に対して期待される超過リターンです。投資家が株式のリスクを負う代わりに要求する追加的なリターンを表し、資産評価・株価分析・CAPM(資本資産価格モデル)で重要な役割を果たします。
エクイティリスクプレミアムの計算
エクイティリスクプレミアム(ERP)の計算:
ERP = 株式の期待リターン - リスクフリーレート
具体例:
株式の期待リターン(S&P500の長期平均): 約10%
リスクフリーレート(米10年国債): 約4.5%
ERP = 10% - 4.5% = 5.5%
→ 株式を保有することで国債比較で
年5.5%の超過リターンを期待する
エクイティリスクプレミアムの2種類
| 種類 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 実現ERP(Historical ERP) | 過去の株式超過リターンの実績 | 過去の分析・参考値 |
| 将来期待ERP(Implied ERP) | 現在の株価から逆算した期待値 | 現在の割高・割安判断 |
CAPMにおける役割
CAPM(資本資産価格モデル):
期待リターン = Rf + β × ERP
Rf: リスクフリーレート(国債利回り)
β: 個別銘柄のシステマティックリスク
ERP: エクイティリスクプレミアム
例(β=1.2の株式の場合):
リスクフリーレート: 2%
ERP: 5%
期待リターン = 2% + 1.2 × 5% = 8%
→ このCAPMによる期待リターンがDCF計算の
割引率(株主資本コスト)として使われる
歴史的なエクイティリスクプレミアム
長期データ(米国):
1926〜2023年:
・株式の実質年率リターン: 約7.0%
・米国債の実質年率リターン: 約2.5%
・実現ERP: 約4.5〜5.5%
日本(過去30年):
・日本株の長期リターンは低く
ERPは米国より低い傾向
現在(2026年時点):
・金利上昇でリスクフリーレートが上昇
・ERPは圧縮されている可能性
インプライドERP(逆算ERP)
現在の株価水準から将来期待ERPを推定:
DCFモデルを逆用:
現在のS&P500株価 = Σ(将来FCF / 割引率)
将来キャッシュフロー成長率を仮定し
現在の株価と整合する割引率を求める
→ 割引率 - リスクフリーレート = implied ERP
低いimplied ERP:
→ 投資家が少ないリターンで満足している
→ 株式が割高の可能性
高いimplied ERP:
→ 投資家が高いリターンを要求している
→ 株式が割安の可能性
ERPに影響する要因
| 要因 | 影響 |
|---|---|
| 金利水準 | 金利上昇 → ERPが縮小傾向(株価に下落圧力) |
| 経済成長期待 | 成長期待低下 → ERP拡大 |
| 市場のリスク回避度 | リスクオフ → ERP上昇 |
| インフレ率 | 高インフレ → 不確実性増加でERP変動 |
| 地政学リスク | リスク増大 → ERP拡大 |
Welvioでの活用
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