固定資産回転率(Fixed Asset Turnover Ratio) とは、企業が保有する固定資産(建物・設備・土地など)を使って、どれだけ効率的に売上を生み出しているかを示す資産効率性指標です。
固定資産回転率の計算式
固定資産回転率 = 売上高 ÷ 固定資産
例:
売上高: 10億円
固定資産: 5億円
固定資産回転率 = 10 ÷ 5 = 2.0回転
固定資産回転率の解釈
| 回転率 |
意味 |
| 高い(3回以上) |
固定資産を効率的に活用 |
| 普通(1〜3回) |
標準的な効率性 |
| 低い(1回未満) |
固定資産が過剰、または未稼働 |
固定資産回転率の目安
| 業種 |
一般的な回転率 |
| 小売業 |
5〜10回(在庫中心) |
| ITサービス |
3〜10回(設備少ない) |
| 製造業 |
1〜3回(設備投資大) |
| 不動産業 |
0.3〜1回(土地・建物中心) |
| 通信業 |
0.5〜1.5回(インフラ大) |
固定資産回転率が高い意味
| メリット |
説明 |
| 資産効率が高い |
少ない資産で大きな売上 |
| 投資回収が速い |
設備投資の回収期間が短い |
| ROA向上 |
資産効率が高いとROAも高い |
| 競争力が高い |
効率的な経営 |
固定資産回転率が低い意味
| 状況 |
説明 |
| 過剰投資 |
不要な設備を抱えている |
| 稼働率低下 |
設備が遊んでいる |
| 業種特性 |
資本集約型産業 |
| 成長投資期 |
将来に向けた先行投資 |
固定資産回転率の計算例
A社(製造業):
売上高: 100億円
固定資産: 50億円
固定資産回転率 = 100 ÷ 50 = 2.0回転
B社(小売業):
売上高: 100億円
固定資産: 10億円
固定資産回転率 = 100 ÷ 10 = 10.0回転
→ B社の方が資産効率が高い
(ただし業種が違うので比較は慎重に)
ROAとの関係
ROA = 売上高純利益率 × 総資産回転率
総資産回転率を分解:
= 売上高 ÷ (流動資産 + 固定資産)
固定資産回転率が高い
→ 総資産回転率も高くなる傾向
→ ROAが向上
固定資産回転率の推移分析
| 推移 |
意味 |
| 上昇傾向 |
資産効率の改善、売上増加 |
| 下降傾向 |
設備投資増、売上減少 |
| 急上昇 |
資産売却、大幅増収 |
| 急下降 |
大型設備投資、M&A |
固定資産回転率を改善する方法
| 方法 |
説明 |
| 売上増加 |
既存設備でより多く生産・販売 |
| 稼働率向上 |
遊休設備を活用 |
| 不要資産売却 |
使っていない土地・建物の売却 |
| リースの活用 |
購入せずリースで固定資産を減らす |
| アウトソース |
自社設備を減らして外注 |
業種による特性
| 業種 |
特徴 |
| 小売業 |
高回転(店舗が主な資産) |
| IT・サービス |
高回転(人的資本中心) |
| 製造業 |
中回転(工場・設備必要) |
| 電力・通信 |
低回転(巨大インフラ必要) |
| 不動産 |
低回転(土地・建物が主体) |
設備投資判断への活用
設備投資の評価:
投資前:
固定資産回転率 2.0回転
投資後(設備20億円追加、売上30億円増):
固定資産回転率 = (100 + 30) ÷ (50 + 20) = 1.86回転
→ 回転率は低下
(短期的には効率悪化に見える)
5年後(売上80億円増):
固定資産回転率 = (100 + 80) ÷ (50 + 20) = 2.57回転
→ 長期的には効率改善
同業比較の例
自動車メーカー:
トヨタ: 固定資産回転率 2.5回転
ホンダ: 固定資産回転率 2.8回転
日産: 固定資産回転率 2.0回転
→ ホンダが最も効率的に資産を活用
→ 日産は過剰設備の可能性
固定資産回転率の注意点
| 注意点 |
説明 |
| 業種による違い |
業種間比較は無意味 |
| 成長段階 |
成長期は低くなりがち |
| 会計方針 |
減価償却方法の違い |
| リース・レンタル |
オフバランス資産は含まれない |
| 資産老朽化 |
古い資産は回転率高く見える |
固定資産の内訳確認
固定資産の構成:
・有形固定資産(建物、設備、土地)
・無形固定資産(のれん、特許、ソフトウェア)
・投資その他(投資有価証券、関係会社株式)
注意:
土地は売上に直接貢献しにくい
→ 土地を除いた回転率も計算する
資産効率の総合評価
| 指標 |
計算式 |
見るポイント |
| 総資産回転率 |
売上 ÷ 総資産 |
全体の資産効率 |
| 固定資産回転率 |
売上 ÷ 固定資産 |
設備の効率性 |
| 棚卸資産回転率 |
売上原価 ÷ 棚卸資産 |
在庫効率 |
| 売上債権回転率 |
売上 ÷ 売上債権 |
回収効率 |
ファブレス企業の例
ファブレス(工場を持たない)企業:
Apple、Nike、ファーストリテイリング
固定資産回転率: 10〜20回転
理由:
・製造は外注(設備を持たない)
・研究開発・ブランド力が競争力
・固定資産が少ない
→ 極めて高い資産効率
Welvioでの活用
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