統合報告書(Integrated Report) とは、企業の財務情報と非財務情報(ESG、経営戦略、リスク、人的資本など)を統合的にまとめ、中長期的な企業価値の創造ストーリーを伝える報告書です。
統合報告書とは
従来の開示:
財務情報 → 有価証券報告書・決算短信
非財務情報 → CSR報告書・サステナビリティレポート
統合報告書:
財務情報 + 非財務情報 → 一体的に企業価値の創造を説明
統合報告書に含まれる主な内容
| セクション |
内容 |
| 経営者メッセージ |
CEO のビジョン、戦略の方向性 |
| 価値創造モデル |
企業がどのように価値を生み出すかの全体像 |
| 経営戦略 |
中期経営計画、成長戦略 |
| 事業概要 |
各セグメントの事業内容と業績 |
| 財務情報 |
売上高、利益、キャッシュフローなどの業績 |
| ESG/サステナビリティ |
環境、社会、ガバナンスへの取り組み |
| 人的資本 |
人材戦略、多様性、人材育成 |
| リスク管理 |
事業リスクとその対応策 |
| コーポレートガバナンス |
取締役会構成、報酬制度、内部統制 |
統合報告書と他の開示資料の違い
| 資料 |
法的義務 |
主な内容 |
対象読者 |
| 有価証券報告書 |
あり |
詳細な財務・法的情報 |
投資家・規制当局 |
| 決算短信 |
あり |
四半期・通期業績 |
投資家・アナリスト |
| 統合報告書 |
なし(任意) |
財務+非財務を統合 |
幅広いステークホルダー |
| サステナビリティレポート |
一部義務化 |
ESG 情報 |
ESG 投資家・社会 |
| 株主通信 |
なし |
業績概要 |
個人株主 |
統合報告書の国際的な枠組み
| フレームワーク |
概要 |
| IIRC フレームワーク |
統合報告の国際的な指針(2021年に IFRS 財団に統合) |
| ISSB(国際サステナビリティ基準審議会) |
サステナビリティ開示の国際基準を策定 |
| TCFD |
気候関連の財務情報開示の枠組み |
| 6つの資本 |
財務、製造、知的、人的、社会・関係、自然資本 |
日本企業の統合報告書の動向
| 項目 |
内容 |
| 発行企業数 |
年々増加し、上場企業の多くが発行 |
| 品質の向上 |
形式的な記載から、具体的な価値創造ストーリーへ進化 |
| 受賞制度 |
日経統合報告書アワードなどで優良事例が表彰 |
| デジタル化 |
PDF だけでなく、Web サイトでのインタラクティブ開示も増加 |
投資家にとっての活用法
| 活用法 |
説明 |
| 経営者の考え方を理解 |
CEO メッセージから経営方針を読み取る |
| 中長期の成長性評価 |
価値創造モデルから将来の成長ドライバーを理解 |
| リスクの把握 |
事業リスクへの対応状況を確認 |
| ESG 評価 |
環境・社会・ガバナンスの取り組みを評価 |
| 競合比較 |
同業他社の統合報告書と比較して差を分析 |
良い統合報告書のポイント
| ポイント |
説明 |
| 一貫したストーリー |
戦略から成果まで論理的につながっている |
| 定量的な目標 |
KPI が明確で進捗が測定可能 |
| リスクと機会の両面 |
課題も正直に記載している |
| 読みやすさ |
図表を活用し、わかりやすく構成されている |
| 経営者の言葉 |
形式的でなく、本音が伝わるメッセージ |
Welvioでの活用
Welvioで保有銘柄の企業分析を行う際に、統合報告書を参考にして中長期的な成長性やリスクを評価できます。財務指標だけでは見えない企業の価値創造力を理解する上で重要な資料です。