プロテクティブプット(Protective Put) とは、保有している株式に対してプットオプション(売る権利)を買うことで、株価下落時の損失を限定するリスクヘッジ戦略です。株式に「保険」をかける手法です。
プロテクティブプットの仕組み
1. 株式を100株保有
2. その株式のプットオプションを1枚購入
3. プレミアム(保険料)を支払う
4. 株価が下落しても権利行使価格で売却可能
5. 株価が上昇すればそのまま値上がり益
プロテクティブプットの損益構造
| 株価の動き |
結果 |
| 大幅上昇 |
値上がり益(プレミアム分減) |
| 小幅上昇 |
値上がり益(プレミアム分減) |
| 横ばい |
プレミアム分の損失 |
| 下落 |
権利行使価格で損失限定 |
プロテクティブプットの例
前提条件:
・A社株を100株保有(現在値1,000円、取得価格900円)
・権利行使価格950円のプットを1枚購入
・プレミアム30円/株支払(計3,000円)
シナリオ1(株価1,200円に上昇):
→ プットは行使せず
→ 利益: (1,200 - 900) × 100 - 3,000 = 27,000円
シナリオ2(株価800円に下落):
→ 950円でプット行使
→ 損失: (950 - 900) × 100 - 3,000 = 2,000円
(プット無しなら -10,000円の損失)
→ 下落リスクを950円で限定
プロテクティブプットのメリット
| メリット |
説明 |
| 損失限定 |
権利行使価格以下にならない |
| 上昇益は維持 |
株価上昇時は利益を享受 |
| 安心感 |
暴落リスクから保護 |
| 保有継続 |
売却せずに保護可能 |
プロテクティブプットのデメリット
| デメリット |
説明 |
| プレミアムコスト |
保険料の支払いが必要 |
| 横ばい時の損失 |
株価が動かないとコスト負担 |
| 満期がある |
期限切れで再購入が必要 |
| 利益減少 |
上昇時もプレミアム分減る |
プロテクティブプットを使う場面
| 場面 |
説明 |
| 含み益の保護 |
利益確定せずに保護 |
| 不確実性の高い時期 |
決算発表前、選挙前など |
| 調整局面 |
相場全体の調整懸念 |
| 長期保有銘柄 |
売りたくないが一時的に保護 |
権利行使価格の選び方
| 価格設定 |
特徴 |
| アットザマネー |
プレミアム高、保護が手厚い |
| アウトオブザマネー |
プレミアム安、一部下落は許容 |
| インザマネー |
プレミアム最高、完全保護 |
プロテクティブプットのコスト例
株価1,000円の銘柄で:
権利行使価格950円(5%下):
プレミアム 20〜30円(2〜3%)
権利行使価格900円(10%下):
プレミアム 10〜15円(1〜1.5%)
→ 保護レベルと コストのトレードオフ
カラー戦略(コストゼロヘッジ)
プロテクティブプット + カバードコール:
1. プットを買う(コスト)
2. コールを売る(収入)
3. 収入とコストが相殺
→ コストゼロでヘッジ可能
→ ただし上昇益も限定される
プロテクティブプットの期間選び
| 期間 |
特徴 |
| 短期(1〜2ヶ月) |
プレミアム安、頻繁な買い替え必要 |
| 中期(3〜6ヶ月) |
バランス型 |
| 長期(LEAPS) |
プレミアム高、長期保護 |
プロテクティブプットの注意点
| 注意点 |
説明 |
| コスト累積 |
継続的な保護は高コスト |
| タイミング |
下落後の購入は遅い |
| 流動性 |
オプション市場の厚さ確認 |
| 税金 |
損益の税務処理 |
他のヘッジ手法との比較
| 手法 |
メリット |
デメリット |
| プロテクティブプット |
上昇益維持 |
コストがかかる |
| 損切り |
シンプル |
反発時に買い戻せない |
| 逆指値 |
コストなし |
ギャップダウンで機能しない |
| 分散投資 |
銘柄リスク分散 |
市場全体の下落には無力 |
プロテクティブプットの活用例
資産1億円のポートフォリオ:
暴落リスクに備えて:
主要保有銘柄にプットを購入
コスト: 年間約100〜200万円(1〜2%)
2020年コロナショック時:
保有株価30%下落 → プットで損失限定
保護なしなら -3,000万円
プットで -500万円に抑制
→ 保険料200万円で2,500万円の損失回避
Welvioでの活用
Welvioで保有銘柄の価格変動リスクを確認し、含み益のある銘柄や重要な局面でプロテクティブプット戦略を検討できます(オプション取引対応の証券会社が必要)。