下落局面捕捉率(Downside Capture Ratio) とは、ベンチマーク(市場指数)が下落した期間において、ファンドやポートフォリオがどれだけその下落に巻き込まれたかを示すリスク指標です。低いほど優秀です。
下落局面捕捉率の計算式
下落局面捕捉率 = (ファンドの下落期間平均リターン ÷ 市場の下落期間平均リターン) × 100
例:
市場が下落した月の平均リターン: -3%
ファンドの同期間平均リターン: -2.4%
下落局面捕捉率 = -2.4 ÷ -3 × 100 = 80%
下落局面捕捉率の解釈
| 捕捉率 |
意味 |
| 100%未満 |
市場下落時に下落幅が小さい(良い) |
| 100% |
市場と同じ |
| 100%超 |
市場下落時により大きく下落(悪い) |
下落局面捕捉率の例
ファンドA(優秀):
下落局面捕捉率 70%
→ 市場が-10%下落すると、ファンドは-7%下落
→ 3%の損失を回避
ファンドB(劣悪):
下落局面捕捉率 120%
→ 市場が-10%下落すると、ファンドは-12%下落
→ 2%余分に損失
上昇・下落捕捉率の組み合わせ
| パターン |
上昇捕捉率 |
下落捕捉率 |
評価 |
| 理想型 |
120% |
70% |
★★★★★ |
| バランス型 |
110% |
90% |
★★★★ |
| 防御型 |
90% |
60% |
★★★ |
| 攻撃型 |
140% |
120% |
★★ |
| 最悪型 |
70% |
130% |
★ |
下落局面捕捉率が低い要因
| 要因 |
説明 |
| 低ベータ銘柄 |
市場より変動が小さい銘柄 |
| ディフェンシブ株 |
生活必需品、公益株 |
| 現金保有 |
現金比率が高い |
| ヘッジ |
プットオプションなどで保護 |
| 質の高い銘柄 |
財務健全な優良企業 |
下落局面捕捉率が高い要因
| 要因 |
説明 |
| 高ベータ銘柄 |
市場より変動が大きい銘柄 |
| レバレッジ |
借入による投資額増 |
| 集中投資 |
少数銘柄への集中 |
| 景気敏感株 |
景気の影響を受けやすい |
| 小型株 |
小型株は下落時に大きく下がる |
投資家にとっての重要性
多くの投資家にとって:
下落局面捕捉率 < 上昇局面捕捉率
理由:
・損失の痛みは利益の喜びより大きい(損失回避性)
・下落時の損失を小さく抑えることが重要
・複利効果を維持するため
例:
-50%下落 → +100%上昇しないと元に戻らない
-30%下落 → +43%上昇で元に戻る
キャプチャレシオ
キャプチャレシオ = 上昇捕捉率 ÷ 下落捕捉率
例:
上昇捕捉率 120%、下落捕捉率 80%
キャプチャレシオ = 120 ÷ 80 = 1.5
解釈:
1.5以上 = 非常に優秀
1.2〜1.5 = 優秀
1.0〜1.2 = 良好
1.0未満 = 要改善
防御力の評価
| 下落捕捉率 |
評価 |
| 50%以下 |
極めて強い防御力 |
| 50〜70% |
強い防御力 |
| 70〜90% |
普通の防御力 |
| 90〜100% |
防御力なし(市場並み) |
| 100%超 |
市場より悪い |
実例分析
インデックスファンド:
上昇捕捉率 100%、下落捕捉率 100%
キャプチャレシオ = 1.0
→ 市場と同じ動き
優秀なアクティブファンド:
上昇捕捉率 130%、下落捕捉率 70%
キャプチャレシオ = 1.86
→ 上昇時に強く、下落時に強い
劣悪なアクティブファンド:
上昇捕捉率 80%、下落捕捉率 120%
キャプチャレシオ = 0.67
→ 上昇時に弱く、下落時に弱い
市場環境による評価の違い
| 市場環境 |
重視する指標 |
| 強気相場 |
上昇捕捉率が高いファンド |
| 弱気相場 |
下落捕捉率が低いファンド |
| 不透明な相場 |
バランス型(キャプチャレシオ重視) |
下落局面捕捉率の注意点
| 注意点 |
説明 |
| 期間依存 |
計算期間で大きく変動 |
| 市場環境 |
弱気相場でないと測定不能 |
| 過去データ |
将来の保証ではない |
| ベンチマーク選択 |
適切な比較対象が必要 |
下落局面捕捉率の改善方法
| 方法 |
説明 |
| 分散投資 |
異なる資産クラスへ分散 |
| ディフェンシブ銘柄 |
景気に強い銘柄を組入れ |
| ヘッジ |
プットオプション、逆相関資産 |
| 現金比率 |
一定の現金保有 |
| ボラティリティ管理 |
低ボラティリティ銘柄選択 |
投資家タイプ別の目標
| 投資家タイプ |
上昇捕捉率 |
下落捕捉率 |
| 若年・積立投資家 |
100%以上 |
100%以下なら可 |
| 退職前 |
110% |
70〜80% |
| 退職後 |
90% |
50〜60% |
長期投資における重要性
複利効果の維持:
ファンドA(下落捕捉率100%):
1年目 +10% → 110
2年目 -20% → 88
3年目 +10% → 96.8
ファンドB(下落捕捉率70%):
1年目 +10% → 110
2年目 -14%(=-20%×70%) → 94.6
3年目 +10% → 104.1
→ ファンドBは下落を抑え、複利効果を維持
Welvioでの活用
Welvioでポートフォリオの下落局面捕捉率を確認し、市場下落時の防御力を評価できます。上昇局面捕捉率と合わせてキャプチャレシオを計算し、総合的なリスク・リターン特性を把握できます。