ターミナルバリュー(Terminal Value、継続価値) とは、DCF法において明示的に予測する期間(通常5〜10年)以降に企業が生み出す価値の合計です。DCF法による企業価値全体の60〜80%を占めることが多い重要な要素です。
ターミナルバリューの考え方
DCF法の企業価値:
|------ 予測期間 ------|--- 予測期間以降 ---|
1年 2年 3年 4年 5年 6年目以降の価値
FCF FCF FCF FCF FCF = ターミナルバリュー
企業価値 = 予測期間のFCFの現在価値
+ ターミナルバリューの現在価値
ターミナルバリューの算出方法
| 方法 |
算出式 |
| 永続成長モデル |
TV = FCF × (1+g) ÷ (WACC - g) |
| マルチプル法 |
TV = 最終年度のEBITDA × 倍率 |
永続成長モデル(ゴードンモデル)
TV = FCFn × (1 + g) ÷ (WACC - g)
FCFn: 予測最終年度のフリーキャッシュフロー
g: 永続成長率(通常1〜3%)
WACC: 加重平均資本コスト
例:
5年目のFCF: 100億円
永続成長率: 2%
WACC: 8%
TV = 100 × (1 + 0.02) ÷ (0.08 - 0.02)
= 102 ÷ 0.06
= 1,700億円
マルチプル法(出口倍率法)
TV = 最終年度のEBITDA × EV/EBITDA倍率
例:
5年目のEBITDA: 150億円
業界平均EV/EBITDA: 10倍
TV = 150 × 10 = 1,500億円
→ 業界の類似企業の倍率を参考にする
永続成長率の設定
| 成長率 |
根拠 |
| 0% |
成長なし(保守的) |
| 1〜2% |
インフレ率並み |
| 2〜3% |
名目GDP成長率並み |
| 3%超 |
通常使わない(過大評価リスク) |
ターミナルバリューの感度分析
永続成長率とWACCの組み合わせ:
g=1% g=2% g=3%
WACC 7% 1,683億 2,040億 2,575億
WACC 8% 1,443億 1,700億 2,060億
WACC 9% 1,263億 1,457億 1,717億
→ 成長率とWACCの差(g-WACCスプレッド)が
小さいほどTVが大きくなる
→ 感度分析で範囲を確認することが重要
ターミナルバリューが企業価値に占める割合
| 企業タイプ |
TVの割合 |
| 成熟企業 |
50〜65% |
| 成長企業 |
70〜85% |
| スタートアップ |
80〜95% |
ターミナルバリューの注意点
| 注意点 |
説明 |
| 過大評価リスク |
成長率を高くしすぎない |
| WACCとの関係 |
g が WACC に近いとTVが発散 |
| 2つの手法を比較 |
永続成長とマルチプルの両方で検証 |
| 予測期間の長さ |
十分な予測期間で安定状態に近づける |
Welvioでの活用
Welvioで企業のキャッシュフロー推移や業界の成長率を確認し、ターミナルバリューの算出に必要なデータを収集できます。