加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital) とは、企業が株式と負債で資金調達するために負担するコストの加重平均です。投資判断の基準となるハードルレート(最低要求リターン)として、DCF法や企業価値評価で使われます。
WACCの計算式
WACC = E/(D+E) × rE + D/(D+E) × rD × (1-T)
E: 株主資本(時価)
D: 有利子負債
rE: 株主資本コスト
rD: 負債コスト(借入金利)
T: 実効税率
例:
株主資本 600億円、有利子負債 400億円
株主資本コスト 8%、負債コスト 2%、税率 30%
WACC = 600/1000 × 8% + 400/1000 × 2% × (1-0.3)
= 4.8% + 0.56% = 5.36%
WACCの構成要素
| 要素 |
内容 |
| 株主資本コスト(rE) |
株主が要求するリターン |
| 負債コスト(rD) |
借入金利 |
| 資本構成(D/E) |
負債と株主資本の比率 |
| 税率(T) |
支払利息の節税効果を反映 |
株主資本コストの計算(CAPM)
株主資本コスト = リスクフリーレート + β × 市場リスクプレミアム
例:
リスクフリーレート: 1%
β: 1.2
市場リスクプレミアム: 6%
株主資本コスト = 1% + 1.2 × 6% = 8.2%
WACCの活用
| 用途 |
内容 |
| DCF法の割引率 |
将来CFを現在価値に割り引く |
| 投資判断 |
ROICがWACCを上回るか |
| ハードルレート |
新規投資の最低要求リターン |
| 企業価値評価 |
M&Aの価格算定 |
ROICとWACCの関係
ROIC > WACC → 価値創造(投資すべき)
ROIC = WACC → 価値の創造・破壊なし
ROIC < WACC → 価値破壊(投資すべきでない)
スプレッド = ROIC - WACC
プラスであれば経済的利益がある
WACCに影響する要因
| 要因 |
WACCへの影響 |
| 金利上昇 |
WACC上昇 |
| β上昇 |
WACC上昇 |
| 負債比率上昇 |
当初は低下、過度な借入で上昇 |
| 業種リスク |
高リスク業種はWACC高い |
業種別のWACC目安
| 業種 |
WACC目安 |
| 公益事業 |
4〜6% |
| 製造業 |
6〜9% |
| 小売業 |
7〜10% |
| IT・テクノロジー |
8〜12% |
| バイオ・ベンチャー |
12〜15% |
WACCの注意点
| 注意点 |
説明 |
| 推定値である |
株主資本コストは推定 |
| 時点で変わる |
金利・株価で変動 |
| 事業ごとに異なる |
全社WACCは平均 |
| βの信頼性 |
過去データに基づく |
Welvioでの活用
Welvioで保有銘柄の財務データを確認し、WACCとROICを比較して企業が価値を創造しているか分析できます。